TANAKA 25aw

 

2025年2月5日、東京の国立代々木競技場第二体育館にて、タナカ(TANAKA)の2025-26年秋冬コレクションが発表されました。

タナカは「今までの100年とこれからの100年を紡ぐ服」をコンセプトに掲げるユニセックスブランドで、デザイナーのタナカサヨリとクリエイティブ・ディレクターのクボシタアキラが手掛けています。今回のコレクションでは、ミリタリーウェアに焦点を当て、戦争や紛争を100年後に紡いではいけないというメッセージを込め、ミリタリーウェアが不要な“パラレルワールド”を表現するデザインが展開されました。

ショーは、ミリタリーナイロンを裂き、テープ状にしてツイードとして再構築したベストやジャケットから始まりました。また、ヴィンテージのミリタリーウェアを解体・染色し、透ける素材を重ねたエレガントなモードが披露されました。さらに、イギリス流のテーラードジャケットやチェック柄コートに、日本の伝統的な鶴や花の刺繍を施し、和洋折衷のデザインが特徴的でした。

ショーのクライマックスでは、ピアノによる「戦場のメリークリスマス」の繊細なメロディが流れ、会場全体に雪が降り注ぎました。平和の象徴である千羽鶴を一面にあしらったドレスを皮切りに、全モデルが白を基調としたルックで次々と登場。真っ白に染まった景色は、国と国の境界線を曖昧にするとともに、ミリタリーウェアが持つ“戦闘服”としての役割を浄化させていました。戦争の記憶を超えた未来への祈りが込められた、静謐で美しいフィナーレが、観客の心に深く刻まれました。

タナカの革新的なアプローチは、ミリタリーウェアの再解釈や日本の伝統技術の融合を通じて、ファッションの新たな可能性を提示しています。

All photo by ©️Shintaro Ogawa

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