2025年3月20日、東京・池袋。
KEISUKEYOSHIDAが選んだのは、ゲームセンターや映画館がひしめくロサ会館。ノスタルジックな空気を含んだこの会場は、デザイナー吉田圭佑にとって、思春期の記憶を刻んだ原点です。
今季のテーマは「孤独」。
人の気配がありながら、誰とも交わらない空間。
ひとりでいることの強さ、弱さ、そしてその中に潜む美しさ。
スリップドレスに中綿ジャケット。
淡いピンクのロングフーディー。
背中に無造作にかけられたデイパック。
“日常にふと出るときの服”という、ごく私的な時間の再現。
派手さではなく、静かな意志を感じさせる佇まいが印象的でした。
柔らかく包み込むようなキルティングジャケット。
二重の袖を備えたケーブルニット。
身体を守る感覚と、着ることで生まれる安心感。
“守られる服”という新しい提案がそこにはありました。
バラというモチーフも重要な役割を担っています。
「ロサ(=バラ)」という会場の名を写し取るように、赤い花が咲き誇るプリントワンピースや、ローズ柄のレギンス、ジャカードバッグが登場しました。
それは、地元の商店街のブティックで目にしたような、懐かしさと少しの甘さを含んだ記憶の断片。
時間の経過を受け入れた、“色褪せの美しさ”です。
今季のKEISUKEYOSHIDAは、ここ数シーズン追い求めてきた“エレガンス”を、より現実的に捉え直しています。
極端なシルエットは抑え、街に馴染む穏やかなラインへ。
日常のなかで機能するファッションとしての美意識。
気取らず、それでいて凛とした存在感。
KEISUKEYOSHIDAが描いたのは、「孤独」と「美しさ」が共存する世界。
ひとりでいる時間を否定せず、その中に見出す静かな光。
誰にも気づかれなくても、自分自身に誇れるスタイル。
そんな“個”の肯定こそが、今季のエレガンスのかたちでした。











































