20240827 1930-
@THE NATIONAL ART CENTER
国立新美術館 六本木
HOMMAGE À BRANCUSI
“BUT THE IDEA,THE ESSENCE OF THINGS”
概念、あるいは物事の本質
「前シーズンにおいて、HARUNOBUMURATAはアウグスト・サンダーの写真作品をインスピレーションに、社会に生きる人間の姿の像形性に迫ることで競うことの喜びを浮かび上がらせようと試みました。2025年春夏の新作コレクションでは、その探求をさらに深め、彫刻家ブランクーシの思想に飛び込みながら美の本質を追求します。
野生的でフィジカルな感性に裏打ちされた洗練された形態と、アフリカ彫刻などの非西欧園の芸術に通じるプリミティブな造形。単純化されたフェティシズムを示唆しながらも物質性を導し、対象のフォルムをそのエッセンスへと還示させていく彫刻家の思想と美学を取り入れ、その奥に限された意味をコレクションを通じて表層に導きます。
静謐なラインにフォーカスを当て、目に見えない真実を視覚化するためのアプローチは、石から削り出されたようなフォルムと素材で輪郭を象るドレスに始まり、磨き上げられたプロンズのように滑らかな仕上げのポンディング素材や、柔らかな布の流れの一頭をその場に固定するような手段を用いて表現されています。
純粋な形態が空間の中で自由と独立性を獲得できるように、鮮やかな色彩と階調が採用され、首元の部族的な装身具や単純なユニットの連続を用いたラッフルのドレスは、抽象性を帯びることでその永続性を想起させます。
今年、創業100年を迎える京都の西村商店の工房の協力によって実現した伝統的な焼箔技術が用いられたシリーズでは、銀箔を硫化させ、時間とともに変化する美を布の上に閉じ込めることで、働くも力強い自然の変化がコレクションのプリミティシズムを強調します。
この独自の技法は、時間の流れとともに変わる素材の表情を取り込み、現代音楽家キリル・リヒターの流奏とともに視覚と職覚の境界を超え、コレクションに時間的な要素を加える役割を果たしています。
彫刻のような衣服を身に纏うことで発生する着用者の仕草や身体の動きを通じて、美しさを発見すること。エレガンスの根源的な成り立ちを語りかけるように、徐々に現実性を帯びるコレクションの構成が、着用者自身に内なる美を発見させるHARUNOBUMURATA が提増するラグジュアリーへと呼応します。
有機的なものと工業的なもの、滑らかさと粗さ、重厚さと軽やかさなど、相反する性質の間で複数の要素を平等に扱いながら組み合わせることで、水道に続く実の本質を感じ取り、そのエッセンスが日常にき渡ること。時間と空間を超えた美の探求の一望を、このショーを通じて感じ取っていただけることを願っています。」